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認知行動療法に向かない人の特徴は?他の治療手段もご紹介

認知行動療法に向かない人の特徴は?他の治療手段もご紹介

更新日:2023年08月31日

公開日:2023年08月23日

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笑顔のスタッフ

日々のストレスによって心身の不調を感じている人の治療では、認知行動療法をはじめとした精神療法を行うケースがあります。しかし、なかには認知行動療法では思うような効果が得られない人もいるのではないでしょうか。

この記事では認知行動療法に向かない人の傾向や、他の治療手段についてご紹介します。どのような人が認知行動療法に向かないのかを知れば、別の治療法を検討してスムーズに症状の改善につなげられるでしょう。

認知行動療法は出来事のとらえ方に働きかける治療法

相談する女性とスタッフ

認知行動療法(CTB)とは、ある出来事に対してのとらえ方を考え直し、感情や行動を変えていく精神療法の1つです。

たとえば、仕事でミスがあったときに「自分はダメなやつだ」「誰の役にも立っていない」と、ネガティブな感情が強くなると、さらに気分が落ち込むでしょう。しかし、とらえ方を変えて「ミスは誰でもある」「次に活かそう」と、ポジティブな考えを持てると、落ち込みやストレスの軽減につながります。

そしてストレスや落ち込みを解消することで、自分がもともと持っている力を発揮できるように促します。このように、認知行動療法では出来事に対して広い視野を持てるように、対話や課題を治療者と共同で進めていく治療法です。

認知行動療法の適応となる疾患

相談する女性とスタッフ

認知行動療法の適応となる疾患は幅広く、以下の通りです。 

● うつ病
● 双極性障害
● 不安障害
● ストレス関連障害
● パーソナリティ障害
● 摂食障害
● 統合失調症
● 社会不安障害
● パニック障害
● PTSD(心外的外傷後ストレス障害)

認知行動療法は、もともとうつ病に対する精神療法を目的として開発されていました。その後はさまざまな精神的な問題に有効であることがわかり、現在では幅広い領域で治療・再発予防のために行われています。また精神疾患だけでなく、普段の生活で生まれるストレスの解消にも活用される場合もあります。 

出典:うつ病の認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアル

認知行動療法のメリット

相談する女性とスタッフ

認知行動療法を行うメリットとして、おもに以下の3つが挙げられます。

1. 日常生活で実践しやすい
2. 副作用のリスクが少ない
3. 薬物療法と同程度の効果が期待できる

ここではそれぞれのメリットについて詳しく紹介します。

1.日常生活で実践しやすい

1つ目は、日常生活で実践しやすい点です。認知行動療法では、ストレスとなっている問題や悩みについて対話をするだけでなく、解決のために日常で実践できることを探します。実生活の具体的な場面に落とし込めるので、問題となる部分や解決後による変化などが明確となりやすいでしょう。

認知行動療法では出来事のとらえ方や行動の変化を少しずつ実感できるので、治療に対してのモチベーションも高くなります。このように、すぐに実践できることと治療による効果が反映しやすい点が、認知行動療法の強みです。

2.副作用のリスクが少ない

2つ目は、副作用のリスクが少ない点です。副作用は、治療薬を使用したときだけだと思う人も多いでしょう。しかし、実際は精神療法にも症状によって相性の良し悪しがあります。

精神療法の実施中でも課題の解決に対する不安感が強くなり、症状の悪化を引き起こす可能性はゼロではありません。 

しかし、認知行動療法は対象者がある程度落ち着いていれば、副作用を引き起こすリスクは低いとされています。副作用のリスクが少ないことから、認知行動療法は幅広い領域に対応ができる治療法となりました。

3.薬物療法と同程度の効果が期待できる

3つ目は、薬物療法と同じような効果が期待できる点です。認知行動療法は治療薬によって心身をコントロールする「薬物療法」と同じ、もしくはそれ以上の効果があると報告されています。 治療者の技術・技量によっても変わりますが、内容はシンプルで進めやすい点もあるため、実施自体にも大きな労力はかからないでしょう。また認知行動療法と薬物療法を併用しながら治療を進めることで、さらに高い効果が期待できるとされています。

出典:日本における心理士によるうつ病に対する認知行動療法の系統的レビュー

認知行動療法のデメリット

バインダーとペン

認知行動療法はさまざまなメリットがある一方、以下のようなデメリットもあります。

1. 治療の効果に時間がかかる
2. 出費がかさむ

ここではそれぞれのデメリットについてご紹介します。

1.治療の効果に時間がかかる

1つ目は、治療の効果が出るまでに時間がかかる点です。認知行動療法は医師やカウンセラーなどの治療者と対話を繰り返しながら、少しずつ考え方・とらえ方の特徴を見つけて修正をする治療です。人の考え方・とらえ方はすぐには変わるわけではないので、時間をかけながら何回も治療を実施する必要があります。認知行動療法の効果を実感するには、約16週間かかるといわれています。

一方で、薬物療法は認知行動療法よりも比較的早く効果が現れますが、それでもすぐに効くわけではありません。精神疾患によって認知行動療法を取り組む際は、すぐに良くなると期待せずに、じっくりと治療を進めていくことが大切です。

2.出費がかさむ

2つ目のデメリットは、出費がかさむ点です。うつ病やパニック障害などに対する認知行動療法は、保険適応が開始されています。しかし、保険適応で取り扱っている医療機関は少なく、自費診療となっているケースが多い傾向にあります。

自費診療での料金は医療機関によって異なりますが、1回6,000〜8,000円を目安にしておいた方が良いでしょう。 さらに、認知行動療法はすぐに効果が現れるものではなく、何回も継続して治療する必要があります。治療期間が長くなりやすい点も相まって、金銭的な面で悩む人もいるのではないでしょうか。

認知行動療法に向いていない人の特徴

脈拍を測る医師

認知行動療法のメリット・デメリットを踏まえたうえで、どのような人が向いていないのでしょうか。ここでは向いていない人の特徴についてご紹介します。

症状が強く出ている人

認知行動療法は、不安や落ち込みなどの症状が強く出ている人には向いていません。認知行動療法では、その人の考え方やとらえ方を変えるために、冷静になって現在の問題点と向き合う必要があります。状態が悪く不安や落ち込みなどの症状が強すぎると、出来事のとらえ方が大きく歪んでしまう恐れがあります。

治療者とのやりとりによって治療が進められるので、気力や体力が続かず、必要以上に疲れてしまう人にもおすすめできません。このように、症状が強かったり治療によってぐったりしてしまう人に対しては、思うような効果は得られにくいといえます。

治療に対して意欲的ではない人

治療に対して意欲的ではない、あるいは強力的ではない人は認知行動療法には向かないでしょう。認知行動療法をスムーズに進めるには、治療を受ける本人の「良くなりたい」「改善したい」という意欲が求められます。本人が「大した問題じゃない」「このままでも大丈夫」と、治療に積極的ではない状態だと、思うような効果は得られないでしょう。

また、相手に期待しすぎる人もおすすめできません。基本的に治療者と協力はしますが、課題や問題に対して取り組むのは本人です。「治療者が良くしてくれるだろう」「認知行動療法をやればなんとかなる」などの姿勢だと、課題に対して取り組むのをやめてしまう恐れがあります。

苦痛だった思い出を避けたい人

過去に苦しかったことや嫌だったことを避けたい人にも当てはまります。認知行動療法を進めるにあたって、今までの苦痛だった思い出や感情に向かい合うときがあるでしょう。過去に向かい合うことは本人にとっても辛いことですが、治療のためにはそのような経験を乗り越える必要もあります。

そのときに治療だと分かっていても、過去の思い出を避けようとすると、思うような効果は得られないことも。過去の出来事を想起したときに治療が困難なほど強い苦痛をともなう人は、認知行動療法は避けるべきでしょう。

環境的に実施が困難

環境的に問題がある場合は、認知行動療法の実施は困難といえます。たとえば、本人の治療が必要でも、現在進行形でハラスメントや犯罪の被害などの法的な問題が起きているケースがあげられます。その状態で認知行動療法を行ったとしても、あまり良い効果は期待できないでしょう。

認知行動療法を行う前に、まずは本人の安全を確保したり、法的な処置を優先して進めたりする必要があります。このように、本人を取り巻く環境によってアプローチの優先順位が変わります。

認知行動療法以外の治療手段

横になる女性

ストレスを抱えていたり、心身に不調を感じていたりする人の治療法は認知行動療法だけではありません。ここでは認知行動療法では効果がみられない場合の、他の治療手段についてご紹介します。

薬物療法

治療薬によってストレスを軽減したり、心身の休養をサポートしたりする治療法が薬物療法です。薬物療法は気分の落ち込みや不安などの症状が強い人に用いられます。おもに使用される治療薬は、以下の通りです。

● 抗うつ薬
● 抗不安薬
● 睡眠薬

抗うつ薬では、セロトニンやドパミンなど、気分をコントロールする働きのある神経伝達物質を活性化させる効果が期待できます。おもに抑うつ気分が強い人や、うつ病を抱える人に処方されます。不安感やイライラなどの症状に対しては抗不安薬を、不安や恐怖によって不眠になっている人には睡眠薬が処方されることもあるでしょう。

このように、薬物療法ではその人の症状にあわせた治療薬を処方して、改善をサポートします。

十分な休養

ストレスから離れたり、疲れた心身を癒したりするためには、十分な休養をとることも大切です。身の回りの環境を整え、十分に休養ができるような時間を確保していきましょう。

たとえば、仕事のストレスを軽減したい場合は、勤務形態を変更したり有給を活用したりするなどの対策があげられます。ストレスによる強い症状が現れている場合は、職場に相談して休職することも1つの手段です。気分が落ち込んでいるときは1人で抱え込まず、家族や仲の良い友人・同僚などと協力して、十分な休養が取れるような環境を整えていきましょう。

認知行動療法が向かない人は別の治療法を検討しよう

笑顔の医師

認知行動療法はさまざまな適応があり、薬物療法と同等の効果があると期待されています。しかし、認知行動療法は決して万能な治療法ではありません。症状が強い人や、治療に意欲的ではない人などには思うような効果が得られないケースもあるでしょう。その場合は、薬物療法をはじめとした別の治療手段を活用してみることをおすすめします。認知行動療法の特徴を理解したうえで、自身にあった治療法を見つけてみましょう。
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