理学療法士として仕事をしていると、何歳まで働けるのか不安になる方もいるのではないでしょうか。理学療法士には定年がなく、基本的に職場の規則によって働ける期間は決まっています。また長く働くには、ただ仕事を続けていくだけでなく、将来に向けて工夫をすることが大切です。
この記事では、理学療法士が何歳まで働けるのか、そして長く働くためのポイントなどについて解説します。今後どのような立ち回りをするべきかがわかれば、理学療法士として働き続けられるきっかけになるでしょう。
目次
理学療法士は何歳まで働ける?
結論から述べると、理学療法士の資格には定年が決められていないため、基本的に何歳でも働くことが可能です。しかし、職場によって定年が決められている場合もあります。そのため、実際は職場によって異なりますが、60〜65歳と定められているケースが多いといえるでしょう。
定年後の再雇用を取り入れている職場もあるので、場合によっては65歳以降も働ける可能性もあります。いずれにせよ、理学療法士の資格自体には定年がないこともあり、職場の条件によって働ける期間は前後します。
理学療法士を長く続けるのが大変だと感じるポイント
定年になっても働ける可能性がある理学療法士ですが、長く働くうえで大変だと感じるポイントもあります。ここではそのポイントについて解説します。
体力的に苦労しやすい
歳を重ねてまず感じるのが、体力的に苦労しやすくなる点です。理学療法士は患者さんに対して動作の介助を行う都合上、それなりの体力や力が求められます。そのため、体力的な目線で考えると若い世代の方のほうが有利な職業といえるでしょう。
歳を重ねて体力が衰えると、介助がうまく行えなかったり、身体の不調につながったりする可能性が高まります。なかには慢性的な腰痛や膝痛を抱えてしまう場合もあるでしょう。とくに急性期や回復期など、積極的なリハビリを行う必要のある職場では、余計に体力面で苦労しやすくなります。
働き口が見つかりにくくなる可能性がある
歳を重ねると、徐々に働き口が見つかりにくくなる可能性があります。2023年の段階で、理学療法士の数は右肩上がりで増加している状況です。このまま理学療法士の数が増え続ければ、需要よりも供給が追い越すかたちとなり、理学療法士の希少性が低下する恐れがあります。
その状況が生まれると若い人材の方が求められる可能性が出てくるので、余計に就職・転職が不利となります。定年前の転職や定年後の再就職をしたいと思っている方にとっては課題の1つとなってくるでしょう。
給料が伸びにくい
理学療法士の給料が伸びにくいのも、大変だと感じるポイントとなるでしょう。理学療法士の平均年収は令和3年度の時点で「約427万円」とされており、これは他の医療職と比較すると低い傾向にあります。その理由としては、理学療法士の数が増えている点や制度の関係で収入が伸びにくい点などがあげられます。
今後、理学療法士の平均年収が下がり続ける可能性もゼロではないでしょう。子どもの教育費や老後のことを考えると、理学療法士の給料に対して不安に思う方もいるのではないでしょうか。
出典:賃金構造基本統計調査/令和3年賃金構造基本統計調査一般労働者職種(職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額)
理学療法士として長く働くためのポイント
理学療法士として長く働くには、ただ仕事だけをすれば良いわけではありません。ここでは長く働くためのポイントについて解説します。
体力をつけておく
日々の仕事で苦労しないように、体力をつけておきましょう。リハビリは肉体労働の一面もあるため、体力が衰えているとその分仕事をするだけでも大変に感じてしまいます。定期的に運動を継続して体力をつけておけば、仕事で苦労することも少なくなるでしょう。
身体の構造や仕組みに精通している理学療法士であれば、効率的な運動を考えることも十分に可能です。長期的に臨床に携わりたいと思っている方は、まずは体力作りからはじめていきましょう。
専門的な知識を身につけておく
専門的な知識を身につけておくことで、理学療法士として価値が高まり、職場で優遇されやすくなります。どの職場も、基本的に若い人材の方が将来的な価値が高いといえます。その状況で理学療法士として優位に立つためには、専門的な知識を獲得して独自の強みを持つことが大切です。「この分野は○○さん」と認識されるような強みを持っていれば、職場での信頼性が高まり、転職時も有利となるでしょう。
専門的な知識を身につける方法でもっともわかりやすい例としては、資格を取得することです。自分が好きな分野がある場合は、ぜひ関連した資格の取得も検討してみましょう。
昇進して管理職に就く
昇進して管理職に就くことも、理学療法士として長く働くためのポイントです。管理職になってリハビリ職のマネジメントをする立場になれば、職場にとって必要性の高い人材となるでしょう。ただし、管理職になるのは簡単なことではありません。
リハビリ職は年功序列の傾向が強いため、管理職になるには長い期間同じ職場に勤める必要があります。また後輩の指導力やマネジメントスキルなど、リハビリ技術以外のスキルを磨くことも大切です。環境的に管理職になるのが難しい場合は、役職に就きやすい職場に転職することも検討してみましょう。
開業する
独立して開業するのも1つの手段です。開業して自分のペースで仕事ができれば、長く働ける可能性も高まります。開業で経営がうまくいけば、収入も以前よりも大幅に増えることもあるでしょう。
ただし、場合によっては赤字になるリスクもあるので、その点もよく考えておく必要があります。また、理学療法士には開業権がないので、必然的にリハビリ以外のサービスを提供することになります。理学療法士としてのスキルを活かしたい場合は、整体院やデイサービスなどがおすすめです。開業を検討している場合は、経営のスキルを学びつつ、どのようなサービスを提供するのかをよく考えておくことが大切です。
理学療法士として働くのが難しくなった場合は?
理学療法士として働くのが難しくなった場合は、どのような選択肢があるのでしょうか。ここでは働くのが難しくなった場合の対応について解説します。
臨床以外の選択肢を見つける
臨床以外の選択肢を見つけることで、理学療法士として長く働けるようになります。理学療法士の仕事は臨床だけではありません。学校の教員や研究機関など、臨床以外の仕事でも理学療法士としての知識を活かすことが可能です。役職に就いてリハビリスタッフのマネジメントを中心に行うのも、その選択肢の1つとなるでしょう。
体力的に臨床での仕事が難しいと判断した場合は、別の選択肢で理学療法士のスキルを活かすことを検討してみましょう。
副業で収入を増やす
副業で本業以外の収入を増やすこともおすすめです。副業にはさまざまな種類があるため、どのような選択をすれば良いかわからないこともあるでしょう。しかし、セミナー講師やトレーナーなど、理学療法士の知識を活かした副業も多くあります。
また、Webライターや動画編集などの新しいスキルを獲得すれば、理学療法士以外で稼げる幅が広がります。副業での収入を増やせれば、その分本業の仕事を無理なく減らすことも可能です。時間に余裕がある方は、ぜひ副業も検討してみてください。
理学療法士として何歳まで働けるのかを考えておこう
理学療法士には定年はなく、どこまで働けるのかは職場によって異なります。理学療法士は体力や力が求められるので、身体が衰えると働き続けるのが難しくなります。また、今後理学療法士の数が増えたり、制度の影響が出てきたりすると、さらに働くのが難しくなる可能性があるでしょう。長く働くには体力をつける、知識やスキルを身につけて希少性を作るなどの工夫が必要です。自分はどのくらいまで働けるのかを考えたうえで、今回紹介したような工夫を取り入れてみましょう。
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