理学療法士と作業療法士、将来どちらを目指すか悩んでいる方はいるのではないでしょうか。そのときに気になるのは、給料や仕事の違いについてですよね。どちらも同じリハビリ職ですが、その仕事の内容には違いがあります。一方で、給料についてはどちらも差はない職場がほとんどです。
この記事では、理学療法士と作業療法士の違いについて詳しくご紹介します。それぞれの違いについて理解し、今後どちらを目指すかの参考にしてみてください。
目次
理学療法士と作業療法士の給料は?
ここでは理学療法士と作業療法士の給料の違いや推移などについて詳しく解説します。基本的にどちらも給料に大きな差はない
結論から述べると、基本的に理学療法士と作業療法士の給料に大きな差はありません。これはどちらもリハビリ専門職であり、業務も類似しているからだと考えられます。厚生労働省が行う給与調査では、理学療法士と作業療法士、言語聴覚士は1つにまとめて集計されています。令和3年度の調査によると、理学療法士と作業療法士の平均年収は「約427万円」という結果でした。年間賞与や特別給与などを除くと、毎月の給料は「約29万円」となっています。
出典:賃金構造基本統計調査/令和3年賃金構造基本統計調査一般労働者職種(職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額)
どちらも年齢ごとに給料は上がっていく
理学療法士と作業療法士はどちらも年齢ごとに給料が上がっていきます。年齢に応じた平均年収の推移は以下の表の通りです。
年齢 | 平均年収 |
20〜24歳 | 約329万円 |
25〜29歳 | 約380万円 |
30〜34歳 | 約414万円 |
35〜39歳 | 約437万円 |
40〜44歳 | 約487万円 |
45〜49歳 | 約516万円 |
50〜54歳 | 約539万円 |
55〜59歳 | 約575万円 |
60〜64歳 | 約479万円 |
65〜69歳 | 約357万円 |
出典:賃金構造基本統計調査/令和3年賃金構造基本統計調査一般労働者職種(職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額)
就職先によって給料は異なる
就職先の規模によっても給料は異なります。職場の希望に応じた平均年収の推移は以下の表の通りです。
企業規模 | 年間の平均給与 |
10〜99人 | 約414万円 |
100〜999人 | 約419万円 |
1,000人以上 | 約463万円 |
とくに有名なクリニックや訪問看護サービスは平均年収が高いケースがあります。このように、理学療法士と作業療法士には給料の差はなく、年齢や職場によって増減します。
出典:賃金構造基本統計調査/令和3年賃金構造基本統計調査一般労働者職種(職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
理学療法士と作業療法士の仕事の違い
理学療法士と作業療法士は給料に差はありませんが、実際の仕事内容や役割にはどのような違いがあるのでしょうか。ここではそれぞれの違いについて解説します。理学療法士は基本的な動作の獲得が中心
理学療法士は、以下のような生活に欠かせない基本的動作を獲得するためのリハビリを提供する職種です。● 立つ
● 歩く
● 座る
● 起きる
理学療法士が提供するリハビリ内容としては、おもに「運動療法」や「物理療法」があげられます。
運動療法とは、筋トレやストレッチ、歩行練習などの運動を中心としたリハビリです。物理療法とは、電気や温熱、冷却などの刺激を利用して機能の改善、痛みの緩和などを図るリハビリです。患者さんの身体機能や希望などを評価したうえで、先ほどあげたリハビリを行っていきます。
作業療法士は応用的な動作の獲得が中心
作業療法士は食事や家事、趣味活動など、その人らしく生活するための動作の獲得を目標にリハビリを提供する職種です。基本的動作の獲得を中心とした理学療法士と比べると、作業療法士はより応用的な動作が中心といえます。場合によっては仕事に必要な動作の練習や公共交通機関の利用など、社会参加に関わるリハビリも行うこともあるでしょう。リハビリの幅が広い作業療法士は、長い期間患者さんや利用者さんに関わる機会も多い傾向にあります。このように、理学療法士と作業療法士にはそれぞれ異なるリハビリ内容と役割があるのです。
理学療法士と作業療法士が活躍できる職場
理学療法士と作業療法士はどのような職場で働いているのでしょうか。ここでは、それぞれが活躍できる職場についてみていきましょう。理学療法士が活躍できる職場
理学療法士は病院や施設などの医療・介護分野はもちろん、その他にもさまざまな職場で活躍している職種です。とくに、ジムやスポーツチームにスポーツトレーナーとして所属している方も多くいます。スポーツトレーナーでは適切なトレーニングの指導だけでなく、ケガの回復や身体の使い方などのサポートをすることもあるでしょう。このように、理学療法士はケガや病気をした高齢者だけでなく、若い方やアスリートにも関わることもあるのです。また、学校で教員を務めたり、研究機関で働いたりしている理学療法士もいます。
作業療法士が活躍できる職場
作業療法士も、理学療法士と同じように医療・介護分野の他にも多くの場所で活躍しています。病院や施設以外の選択肢としては、以下のような教育に関連した職場もあげられます。
● 特別支援学校
● 就労支援事業施設
● 地域活動支援センター
このように、リハビリの幅が広い作業療法士の特徴を活かして、さまざまな分野で活躍が可能です。
理学療法士や作業療法士で働くイメージとして、病院やクリニックを思い浮かべる方は多いかもしれません。しかし、その他にも多くの選択肢があることを知っておくと、就職する際の参考になるでしょう。
理学療法士と作業療法士はどちらが難易度が高い?
理学療法士・作業療法士になるための難易度については、結論から述べると大きな差はありません。理学療法士・作業療法士になるには、どちらも以下の流れを経る必要があります。
1. 養成校に入学して必要なカリキュラムを受ける(3年以上)
2. 国家試験に合格する
3. 国家資格を受け取る
カリキュラムの内容には差はあるものの、どちらも基礎となる部分は同じです。
また令和5年度の国家試験合格率は、それぞれ以下の通りです。
● 理学療法士:87.4%
● 作業療法士:83.8%
このように、理学療法士がわずかに合格率は高いものの、そこまで大きな差はありません。そのため、どちらの職種が良いか迷っている際は、国家試験の合格率に関してはあまり参考にする必要はないでしょう。
出典:第58回理学療法士国家試験及び第58回作業療法士国家試験の合格発表について
理学療法士・作業療法士に向いている方の特徴
理学療法士・作業療法士に向いている方の共通の特徴としては、以下の通りです。● コミュニケーションが得意
● 相手の気持ちに寄り添える
● 細かい変化に気づける
● 協調性がある
その他には、理学療法士は歩く・立つといった動作の介助をする関係上、ある程度の体力や力が求められます。そのため、肉体労働に自信がある方に向いています。作業療法士は提供するリハビリ内容の幅が広いので、想像力が豊かな方であれば適切なアプローチができるでしょう。
理学療法士・作業療法士を目指すときにしておきたいこと
理学療法士・作業療法士を目指すときにしておきたいこととしては、以下があげられます。● 身体の構造について勉強しておく
● コミュニケーションスキルを養っておく
あらかじめ身体の構造について勉強しておくと、必修科目である解剖学や生理学、運動学などの理解がスムーズとなります。専門的なものではなく簡単な内容でも良いので、本や動画などを活用して身体について勉強しておきましょう。リハビリ職は患者さんや他職種と関わる機会が多いため、コミュニケーションスキルを養っておくことも大切です。
理学療法士と作業療法士の給料をおさえておこう
理学療法士と作業療法士は同じリハビリ職であるため、基本的に給料に変わりはありません。また、どちらの資格を目指す際でも難易度はほとんど差はないといえます。しかし、それぞれの役割や仕事内容には違いがあるため、自分にあった職種を選択することが大切です。今回の記事を参考にして、どちらが自分に適しているのかを検討してみましょう。関連記事
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