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音楽療法士について

音楽を演奏したり聴いたりすることでQOL向上を目指すリハビリ資格「音楽療法士」。資格取得方法や資格内容について詳しく解説します!

更新日:2023年04月27日

公開日:2021年08月02日

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音楽療法士とは

みなさんは音楽療法士という資格をご存知でしょうか。 
音楽療法士とは、作業療法士のような公的な資格ではなく民間資格です。 
リハビリには理学療法や作業療法といったさまざまなアプローチ方法がありますが、音楽療法士は音楽の力を活かした「音楽療法」でリハビリ対象者の QOLの向上を目指します。 
音楽療法士の資格を活かして働ける場所は医療や福祉、教育分野と幅広く、作業療法士のサイド資格としても人気があります。 
では、作業療法士が音楽療法士の資格を取得する場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。 
音楽療法士という資格についての基本情報をはじめ、資格取得の方法や資格取得後の仕事内容、働ける場所などについても詳しく解説していきますので、気になる方はぜひ参考にしてみてくださいね。 
 

音楽療法士とはどんな資格?

音楽療法士とは、音楽を通してリハビリ対象者のケアを行う専門職で、「ミュージックセラピスト」とも呼ばれています。 
音楽療法士が用いるのは「音楽療法」と呼ばれる治療法で、患者さんに音楽を聴いてもらったり患者さんに楽器を演奏してもらったりしながら、音楽の持つ生理的、心理的、社会的な効果を使って心の回復や向上を図ることを目的としています。 
音楽療法士によるケアの対象者は子どもから高齢者まで幅広く、重度の障がいがある方や言語障がいのある方をはじめ、健常な方も音楽療法の対象となります。 
音楽療法は補完療法ですのでこれだけで治療が出来るわけではありませんが、患者さんのQOLを高めて症状を和らげるリハビリテーションの1種として期待されています。 
なお、音楽療法士は理学療法士や作業療法士のように資格名に「療法士」とあるため、国家資格と間違われる方もいますが民間資格です。 
音楽療法士の資格取得においてはさまざまなところが主催していますが、そのなかでも「日本音楽療法学会」と「全国音楽療法士養成協議会」が主催する音楽療法士が有名です。 
 

音楽療法の歴史

音楽療法の誕生は古く、旧約聖書にも記されています。 
近代では、第二次世界大戦時のアメリカで病院に音楽を流したところ、負傷兵の治癒が早まったことから音楽療法の効果を研究することになりました。 
その後、1950年に全米音楽療法協会が誕生しました。 
日本では1960年代ごろに始まったとされており、1995年に全日本音楽療法連盟が誕生、1997年から音楽療法士の資格認定制度が開始されました。 
 

音楽療法士の仕事内容と役割

音楽療法士の主な仕事内容は、対象者の状態やニーズに合わせ、音楽がもつ特性を活かした音楽療法を用いながらリハビリテーションを行うことです。 
音楽療法は補完療法となるため、多くはその他のリハビリテーションと併用して行われます。 
音楽療法の対象となる人は障がいの有無にかかわらず子どもから高齢者までさまざまなため、音楽療法士はひとりひとりの趣味や嗜好をはじめ、健康状態や認知、日常生活動作能力の有無などに応じてリハビリプログラムを作成します。 
音楽療法の実施においては、楽器を奏でたり歌を歌ったり、音楽やリズムに合わせて身体を動かしたり、音楽を聴いて歌詞から情景を想像してみたりといった受動的、または能動的な音楽療法を行います。 
 
 
音楽療法を受ける目的は人それぞれですが、代表的なものとして 
・こどもの発達支援 
・高齢者の介護予防や健康維持 
・心身の障がいの機能回復 
・心のケア 
・リラクセーション 

などが挙げられます。 
音楽療法士は対象者それぞれが希望する目的に応じて、音楽療法がもつ効果(心の安定や痛みの軽減、脳の活性化、コミュニケーション支援など)を最大限発揮できるよう働きかけることが求められます。 

音楽療法士が働く場所

音楽療法士は、医療機関、福祉施設、教育機関などさまざまな分野において活躍しています。 
具体的な音楽療法士の就職先は以下のようになっています。 
 

<音楽療法士が働く場所> 
■医療機関…精神病院や認知症専門病院、リハビリテーションセンターなど 
■福祉施設…高齢者福祉施設、障がい者福祉施設、児童福祉施設など 
■教育機関…幼児療育施設、特別支援学校など 

 
現状、音楽療法士そのものの求人は少ない傾向にあるため、リハビリや介護、教育の専門職が音楽療法士の資格を取得し業務を行っていることが多いようです。 
ですが、働く場所によっては音楽療法士の役割を高く評価しているところもあり、音楽療法の専門職として採用しているところもあります。 
特に、発達障害の子どもと関わりが大きい福祉施設においては、音楽療法士の配置人数が多い傾向にあります。

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作業療法士が音楽療法士を目指すメリット

全国的に音楽療法士の求人はまだまだ少ないものの、リハビリテーションのひとつとして音楽療法を取り入れるケースは多いため、作業療法士がダブルライセンスとして音楽療法士の資格を取得することは珍しくありません。 
なぜなら、身体機能そのものの向上や維持を図るリハビリを行う理学療法士に対し、作業療法士は日常生活に必要な作業や活動を通して「心身の機能回復」を図るリハビリを主な仕事としているため、音楽療法士は作業療法士と非常に相性の良い資格なのです。 
作業療法士が音楽療法士の資格を取得することで得られる一番のメリットは、作業療法だけでなく音楽療法を取り入れることでより一人ひとりの患者さんに合ったリハビリが提供できるようになることでしょう。 
作業療法だけでは補えない部分を補完療法である音楽療法で補えるようになれば、患者さんの心身のケアの向上に繋がる可能性も大きく、特に精神疾患や発達障がいのある方に対するリハビリへの効果も期待できます。 
作業療法士が音楽療法士の資格を取得することで資格手当などは発生しませんが、スキルの高い作業療法士として医療機関や福祉施設などで重宝されるケースは多く、転職時などで有利に働くことも。 
仕事の幅を広げスキルアップにも繋がる音楽療法士は、作業療法士が仕事に活かせる資格のひとつといえるでしょう。 
 

実は理学療法士も音楽療法と関わりがある?

作業療法のなかで音楽療法を取り入れるケースは珍しくありませんが、「理学療法士と音楽療法」ときくと少しイメージしにくい部分がありますよね。 
ですが、理学療法士も音楽療法と関わりはあります。 
具体的には、音楽療法によってリハビリの相乗効果を目指すことを目的に、理学療法士と音楽療法士が連携して患者さんのリハビリに関わっています。 
理学療法士が直接音楽療法を行うシーンはほぼありませんが、理学療法士の視点から音楽療法のなかで行われる楽器選びのアドバイスを音楽療法士に行ったり、反対に音楽療法への意欲の高まりからリハビリメニューの相談を音楽療法士が理学療法士に対して行ったりすることがあるようです。 
特に、高齢者福祉施設や児童福祉施設などでは理学療法士と音楽療法士が連携していることが多く、利用者の方にとっての最適なケアについて意見交換が行われるなど、職種を超えて協力しあうシーンがみられます。 
 

音楽療法士になるには?資格取得方法について

音楽療法士になるには、各団体が主催する音楽療法士の民間資格を取得する必要があります。 
一般的には、「日本音楽療法学会」あるいは「全国音楽療法士養成協議会」が認定する音楽療法士が有名です。 
以下では、「日本音楽療法学会」で資格を取得する場合と「全国音楽療法士養成協議会」で資格を取得する場合について、それぞれの資格取得方法を詳しくご紹介しています。 
今後、音楽療法士の資格を取得し仕事の幅を広げようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。 

【日本音楽療法士学会認定】音楽療法士の資格取得ルートは2つ!

日本音楽療法士学会が主催する音楽療法士の資格を取得する場合、資格取得ルートは2つあります。 
1つは認定校に通って資格取得を目指すコース、もう1つは受験をして資格取得を目指すコース 
です。 
 

資格取得方法①<認定校コース>

認定校コースでは、日本音楽療法学会が認定する学校の音楽療法専攻に入学し、必要なカリキュラムを修了し単位を取得することで音楽療法士資格試験の受験資格(※)を得ることができます。 
(※)認定校の卒業見込み時に(補)受験資格取得となります。 
 
受験資格を得たあとは、 
音楽療法士(補)試験 ➡ 面接試験 ➡資格取得  
という流れになります。 
 
◆日本音楽療法学会の認定校一覧はこちら 
 

資格取得方法②<受験コース>

受験コースでは、日本音楽療法学会が主催する音楽療法士資格試験受験のための制度に参加し、受験に必要な条件を得る必要があります。 
 
この制度に参加するためには、以下の条件が求められます。 
 

<参加申請に必要な条件> 
・日本音楽療法学会正会員であること。 
・学校法人格を持つ専門学校・高等専門学校・短期大学・大学いずれかの修了証。 
・臨床経験5年以上(ただし、音楽を用いた臨床経験が2年以上あること) 

 
また、音楽療法士(補)試験受験に必要な条件として、以下の項目が挙げられます。 
 

<音楽療法士(補)試験受験に必要な条件> 
・必修講習会を受講し、ピアノ実技と弾き歌い、音楽理論、小論文の試験に合格する。 
・音楽療法関連分野(医学・心理学・福祉・教育)で18単位を取得する。 
・臨床経験5年以上(資格条件で足りない場合のみ) 
・学会参加などで手に入るポイントを200ポイント集める。 

 
学会が主催する必修講習会は全90コマあり、修了するまでに約2年半かかるといわれています。 
そのため、参加申請に必要な条件に「臨床経験5年以上」とありますが、臨床経験3年で音楽療法士(補)試験の受験申請までに臨床経験を積み5年以上となる場合も参加可能となっています。 
 
◆一般社団法人日本音楽療法学会の公式サイトはこちら 
  

【全国音楽療法士養成協議会認定】音楽療法士の取得方法

全国音楽療法士養成協議会が認定する音楽療法士の資格取得方法については、「音楽療法士(専修、1種、2種)」は協議会の加盟校となる養成校に入学し、協議会の定める指定教育課程を全て修了することが称号授与の条件となります。 
 
◆全国音楽療法士養成協議会の公式サイトはこちら 
  

音楽療法士は通信講座でも資格取得ができる?

音楽療法士は民間資格となるため、資格認定を行っている団体や組織はさまざまです。 
そのため、一部の団体や組織によっては通信講座で資格を取得することも可能となっています。 
養成校に通う時間が作れないという方にとっては、完全在宅で音楽療法に関する資格が取得できる通信講座は非常に便利です。 
音楽療法士の通信講座を行っているところの例では、ミュージックインストラクターズ養成学院が挙げられます。 
ミュージックインストラクターズ養成学院では、全国音楽療法協会監修の充実したカリキュラムのもと全国どこでもオンライン通信受講に対応しており、最短3ヶ月で音楽療法士の資格を取得することができます。 
また、音楽療法士ではありませんが、音楽療法について知識を深めたい方には音楽療法に関連する資格を通信講座で取得する方法もおすすめです。 
通信講座にて取得できる音楽療法に関する資格では、「メンタル心理ミュージックアドバイザー資格」や「音楽療法カウンセラー資格」、「音楽健康指導士」などが挙げられ、通信講座のユーキャンなどでも取得することが可能です。 
音楽療法に関連する資格取得を検討されている方はぜひ調べてみてはいかがでしょうか。 
 

音楽健康指導士と音楽療法士の違いは?

上述しましたが、音楽療法に関連し音楽療法士と似た資格として「音楽健康指導士」という資格があります。 
音楽療法士と似た名前のため同じ資格と間違えられがちですが、音楽健康指導士とは歌や音楽を活用した身体機能や脳機能の維持・向上を図るプログラムを通じ、介護予防や機能訓練の実施、または実践指導が行える資格です。 
音楽療法士は医療機関や福祉施設、教育機関などで活躍していますが、音楽健康指導士の主な活躍フィールドは介護施設や地域交流の場で、高齢者の健康維持を目的とした活動がメインとなります。 
  

気になる!音楽療法士の給料とは

音楽療法士はまだ職業としてはそれほど確率されているわけではないため、多くは医療や福祉の専門職員としての収入がメインとなります。 
また、音楽療法士は民間資格となるため資格手当が出るケースはほとんどなく、音楽療法士の資格があるからといって特別な待遇となることはないようです。 
ですが、今後音楽療法士の資格が一本化され国家資格となった場合は、資格手当をはじめとした給与面は向上していくと予想されます。 
 

音楽療法士の求人はどこで探せばいい?

音楽療法士の求人は全国的にまだまだ少ない現状ですが、全く募集がないというわけではありません。 
音楽療法士の求人は、主に一般社団法人日本音楽療法学会の公式サイトのほか、求人サイトにて調べることができ、多くは病院や介護施設、障がい者支援施設、療育施設などで募集があります。 
求人のなかには音楽療法士と生活支援員との兼務など、音楽療法士としての仕事以外に別の仕事を行わなければならないケースもあるため、どのような働き方を希望するかによって募集内容をよく確認する必要があります。 
なお、求人サイトで短くまとめられた募集内容だけでは実態が分からず不安という方には、PT・OT・STの転職に特化した転職エージェントを利用し、希望する条件にマッチするお仕事を紹介してもらう方法もおすすめです。 
PT・OT・ST専門の転職エージェント「PTOTSTワーカー」では、完全無料で転職を希望する方のフルサポートを行っています。 
転職に関する悩みや希望に関するヒアリングをはじめ、多数ある求人のなかから希望する条件にマッチするお仕事を提案から事前見学、面接の同行、入職後のフォローも全て無料で行っていますので、安心して転職活動を進めることができます。 
まだまだ希少な音楽療法士の活動内容や募集先での働き方など個人ではなかなか応募先に質問しづらいことも、転職希望者にかわって専門の転職アドバイザーが詳しく質問し、求人の詳細についてより分かりやすくご紹介することも可能です。 
「音楽療法士としての特性をよく理解した職場で働きたい」 
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といった方は、なかなか求人サイトだけではよい条件のお仕事がすぐに見つからない場合が多いため、ぜひ転職エージェントによる転職支援を検討してみてはいかがでしょうか。 
 
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まとめ

 
音楽療法士の資格が民間資格であることもあり、音楽療法士の求人は日本ではまだまだ少ない状態です。 
ただ、音楽療法の治療効果は徐々に世間に認められ、医療従事者や福祉従事者の方が取得することにより治療の幅を持てることもあり、少しずつではありますが増加しています。 
特に作業療法士や言語聴覚士の仕事とは相性が良く、楽器を演奏してもらう治療法では楽器を演奏すること自体が作業となりますし、音楽を聴くことで心のケアにもなります。  
歌を歌う治療法では、歌を歌うことで肺活量を鍛えたり、言葉を発することで新しい言葉を覚えたり思い出したりしてもらうことが言語聴覚のリハビリにつながります。  
音楽療法士資格を取得する際には臨床経験が求められますが、PT・OT・ST領域で働いている方が取得するには非常に有利です。 
作業療法だけでなく音楽療法の知識や技術を取り入れて、より患者さんにとって適切なケアを実施したいと考えるなら、ぜひ積極的に音楽療法士の資格取得を視野に入れてみてはいかがでしょうか。 
 
 
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