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寝たきり防止にはリハビリが重要!廃用症候群との関係やリハビリ内容をご紹介

寝たきり防止にはリハビリが重要!廃用症候群との関係やリハビリ内容をご紹介

更新日:2023年08月31日

公開日:2023年08月22日

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ベットの高齢者とスタッフ

親が年をとるごとに活動量が減って、ベッドにいる時間が増えていると「寝たきり」にならないか心配になりますよね。寝たきり状態が続くと「廃用症候群」を引き起こし、さらに身体機能の低下につながる恐れがあります。寝たきりを防ぐには、リハビリを継続的に行うことが大切です。

この記事では、寝たきりによる身体への影響やおすすめのリハビリ内容についてご紹介します。寝たきりの危険性とリハビリの重要性をおさえておくことで、親の活動性を高められるきっかけを作れるでしょう。

寝たきりの定義

ベットの高齢者とスタッフ

寝たきりの定義は、「おおむね6か月以上ベッドで過ごしていること」とされています。さらに寝たきり度を判定する際には「障害高齢者の日常生活自立度」と呼ばれる評価を用いる場合もあります。判定の基準は以下の通りです。
生活自立ランクJ何らかの障害はあるが、日常生活はほとんど自立していて1人で外出ができる1.交通機関を利用して外出する
2.近所へなら外出する
準寝たきりランクA屋内での生活は自立しているが、介助がないと外出できない1.介助によって外出して、日中はほとんどベッドから離れて生活する
2.外出の頻度は少なく、日中は寝たきり生活をしている
寝たきりランクB屋内での生活は何らかの介助が必要
日中もベッド上での生活が中心だが、座ることはできる
1.車イスに移乗して、ベッドから離れて食事やトイレをしている
2.介助によって車イスに移乗する
ランクC1日中ベッド上で過ごしており、トイレや食事、着替えにも介助が必要1.自力で寝返りをうてる
2.自力では寝返りをうてない
上記の評価では、ランクBから「寝たきり」と判断されます。このように、寝たきりの定義は「ベッドから動かない人」というわけではないのがわかります。

出典:寝たきり
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)

寝たきりを引き起こす原因

高齢者の背中

寝たきりを引き起こす原因としてもっとも多いのが「脳血管疾患」で、2位が「認知症」、3位が「加齢による老衰」だといわれています。それらの次に多いとされているのが「転倒・骨折」です。

脳血管疾患は高血圧や動脈硬化など、生活習慣の乱れから発症する病気につながる恐れがあります。どの原因も身体機能や活動量の低下を引き起こすものなので、生活習慣を整えたり、筋力・体力をつけたりして寝たきりを予防することが大切です。

出典:寝たきりの予防と対応

寝たきりは廃用症候群を引き起こす恐れがある

高齢者とスタッフ

寝たきりが続くと「廃用症候群」を引き起こし、身体機能が悪化する恐れがあります。廃用症候群とは「生活不活発病」とも呼ばれ、長期の安静によって引き起こされる二次的な障害のことです。

廃用症候群が発症する原因は、おもに「内的(一次的)要因」と「外的(二次的)要因」の2種類に分かれます。それぞれの要因の内容は以下の表の通りです。
内的(一次的)要因病気による症状が原因で安静が続くケース(麻痺、痛み、息切れ、うつなど)
外的(二次的)要因外部の環境による活動の制限が原因で安静が続くケース(ギプス固定、安静の指示、介助者がいないなど)
 廃用症候群にはさまざまな要因があるため、高齢者だけでなく若い世代の方にも起こるケースも珍しくありません。

廃用症候群による症状

聞き取り調査

廃用症候群になるとどのような症状が現れるのでしょうか。ここでは部位や機能ごとに現れる症状について詳しく解説します。

筋骨格系の症状

筋骨格系の症状としては、「筋力低下・筋萎縮」と「骨萎縮」があげられます。ベッド上で1日中安静にしていると、筋力は1日に1〜3%、1週間に10〜15%低下するといわれています。3〜5週間が経過すると約50%も低下するといわれているため、いかに筋肉が衰えやすいのかがわかるでしょう。

同時に骨も萎縮してしまうので、骨粗鬆症につながる恐れもあります。筋力低下や骨萎縮によって転倒して骨折すると、さらに寝たきりが続いて廃用症候群が悪化してしまいます。

 出典:廃用症候群

循環器系の症状

血液を全身に巡らせる循環器系の機能が低下すると、以下のような症状が現れます。

● 運動耐容能の低下
● 起立性低血圧
● 深部静脈血栓

ベッドで横になっていると身体にかかる重力が一定になるため、立っている状態と比べると血液を循環させる力はそこまで必要ありません。寝たきりによって血液を循環させる機能が次第に低下し、運動するときに酸素を十分に送れず、すぐに息切れを起こします。

また、血圧を調整する機能も低下しているので、起き上がったときに血液をうまく脳に送れずに起立性低血圧を引き起こします。血流が停滞することで血液が固まり、血栓(血の塊)ができる恐れもあるでしょう。血栓が流れて肺や脳の動脈を詰まらせると脳梗塞を引き起こしたり、最悪の場合死に至ったりする危険性があります。

呼吸器系の症状

廃用症候群によって呼吸に必要な筋肉が衰えると、肺によるガス交換がうまく行われなくなる「換気障害」を引き起こす恐れがあります。長期間寝たきりになると、空気の通り道である「気道」や肺に分泌物・水分が増えて、さらなる換気能力の低下につながります。この状態が続くと、やがて肺炎を引き起こす可能性もあるでしょう。

その他の症状

その他にも、以下のような症状を引き起こすきっかけとなります。

● 消化器系:便秘や食欲低下、体重減少など
● 泌尿器系:尿路結石や尿路感染など
● 精神神経系:うつやせん妄、認知症など

このように、廃用症候群は非常に幅広い症状を引き起こす恐れがあります。廃用症候群にならないためにも、寝たきりを予防して活動量を高めていくことが大切です。

寝たきりの方におすすめのリハビリ内容

高齢者とスタッフ

寝たきりの方、あるいは寝たきりに近い方には、リハビリをして身体を動かしていきましょう。ここでは自宅でもできるおすすめのリハビリ内容についてご紹介します。

ストレッチ

寝たきりの状態が続くと筋肉が硬くなり、関節が動きにくくなるため、ストレッチによって改善を目指します。ストレッチの内容は以下の通りです。

【①股関節・膝関節のストレッチ】

1. 両手で膝の裏とかかとを持つ
2. ゆっくりと股関節と膝関節を曲げる
3. 十分に曲げたら、ゆっくりと伸ばす
4. 2〜3の手順を10回×3セット行う

足を動かすことで股関節・膝関節周囲の筋肉を伸ばす運動です。足の曲げ伸ばしは、本人に動かしてもらうのもおすすめです。
 
【②ふくらはぎのストレッチ】

1. 膝を少し曲げた状態でかかとの部分を持つ
2. 足関節を上側に動かしてふくらはぎの筋肉を伸ばす
3. 20秒間キープしたら反対の足に変える
4. 2〜3の手順を左右で2セットずつ行う

手足の筋力トレーニング

筋肉の衰えを防ぐために、手足の筋力トレーニングを行います。手足の筋力トレーニングメニューは以下の通りです。

【キッキング】

1. 股関節と膝関節を曲げた状態で、両手で膝の裏とかかとを持つ
2. 抵抗をかけながら足を伸ばしてもらう
3. 最後まで伸びたら再び足を曲げる
4. 2〜3の手順を10回×3セット行う
 
【腕の上げ下げ】

1. 両手を組んでもらう
2. 腕をできる限り上げてもらう
3. 上げ切ったら腕を下げる
4. 2〜3の手順を10回×3セット行う

立ち座りの運動

筋力の衰えだけでなく、日常生活の動作能力の低下を防ぐために、立ち座りの運動をすることも大切です。1人で立ち座りするのがむずかしい場合は手で支えたり、手すりを使用したりなどのサポートをしながら実施しましょう。

電動ベッドを使用している方であれば、高さを調節しておくと立ち座りがしやすくなります。疲れ具合をみながら10回×3セットほど行ってみましょう。

歩く運動

立ち座りが行える方であれば、歩く運動も行ってみましょう。歩く運動では筋力をつける他にも、離床を促すきっかけにもなります。歩行がふらつく場合は、以下のような方法でサポートしながら行いましょう。

● 杖や歩行器などの歩行補助具の活用
● 手で支えながらの歩行
● 手すりの活用

このように、寝たきりを改善するためにはリハビリを行うことが重要です。これらのリハビリは、ムリのない範囲で毎日継続することをおすすめします。

寝たきりの方にリハビリを行うときのポイント

車椅子の高齢者とスタッフ

寝たきりの方にリハビリを行うときに、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか。ここではリハビリを行う際のポイントについて解説します。

本人が運動に前向きになれるように支援する

実際にリハビリをする本人が前向きになれるようにサポートしましょう。身体を動かす重要性をわかっていても、本人が前向きじゃないと思うような効果は得られません。

本人が前向きになれるように、まずはリハビリの目的を説明して、どんなメリットがあるのかを理解してもらいましょう。リハビリの重要性を理解してくれれば、運動のモチベーションが高まりやすくなります。

ただし、ご家族が必死になりすぎると、リハビリを拒否されることもあるでしょう。その場合は医師や理学療法士などの医療従事者へのアドバイスをもらったり、協力を得たりすることをおすすめします。

リハビリがしやすい環境を整える

リハビリを効率的に行えるように、自宅の環境を整えておきましょう。物が散らかっていたり、リハビリに必要な道具が揃っていなかったりすると、運動時に転倒やケガをする恐れがあります。

たとえば、自宅に段差が多い場合はスロープを用意する、歩行時にふらつきがみられているなら手すりを設置するなどの配慮が必要です。その他にも本人の身体機能に応じて、電動ベッドや車イスなども用意しておくと良いケースもあります。

このように、うまく介護用品や福祉用具を活用して、リハビリしやすい環境を作りましょう。

寝たきり防止のために利用したいリハビリサービス

ストレッチをする高齢者とスタッフ

寝たきりの方にリハビリを継続的に促すのは労力的にも大変なので、以下のようなサービスの利用をおすすめします。

● 訪問看護サービス
● 通所リハビリ(デイケア)
● 通所介護(デイサービス)

ここでは、それぞれのサービスの特徴について詳しくご紹介します。

訪問看護サービスによるリハビリ

訪問看護サービスの最大の特徴は、自宅までスタッフが訪問してくれるので移動の手間がかからない点です。訪問看護ではリハビリサービスも受けられるので、理学療法士をはじめとした専門職による効率的な運動を提供してくれます。看護師による体調面のサポートもしてくれるため、何か異常があったら素早く医師に相談してくれます。

自宅でのリハビリは、寝たきりになっている本人としても受け入れやすいでしょう。この後に紹介する通所リハビリやデイサービスの受け入れが悪い場合は、訪問看護サービスの利用がおすすめです。

通所リハビリ(デイケア)

通所リハビリは、施設内でリハビリを提供してくれるサービスです。リハビリだけでなく、送迎や入浴、食事のサービスもあるので、ご家族の介護の負担を軽減できるメリットがあります。通所リハビリでは理学療法士や作業療法士などのスタッフが在籍しているため、専門的なリハビリを受けられます。

サービス利用中は基本的に離床した状態なので、活動量を大きく高められるきっかけにもなるでしょう。通所リハビリは、以下のような希望がある方におすすめです。

● 介護の負担を軽減したい
● 質の高いリハビリをしてほしい
● 本人の活動量を高めたい
● 交流の場を増やしてあげたい

通所介護(デイサービス)

デイサービスも通所リハビリと同じように、日中を施設内で過ごせるサービスです。送迎や入浴、食事などのサービスがあるのは通所リハビリと共通していますが、デイサービスはリハビリ専門のスタッフが在籍していないケースがあります。そのため、運動内容は体操やレクリエーションが中心です。デイサービスにおすすめの方は、以下の通りです。

● 介護の負担を軽減したい
● リハビリにはやや拒否的だが、軽い運動なら受け入れてくれる
● 活動量を高めたい
● 交流の場を増やしてあげたい

リハビリで寝たきりの防止を目指そう

車椅子の高齢者とスタッフ

寝たきりによって引き起こされる廃用症候群は、身体の広範囲に悪影響をおよぼします。廃用症候群で身体機能が低下すると、さらに寝たきりが悪化するという悪循環にもつながってしまいます。ベッドから離れる時間を増やすためにも、リハビリを行って身体を動かす機会を作ることが大切です。介護の負担が強くなる場合は、訪問看護や通所リハビリなどのサービスの利用も検討しましょう。
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