理学療法士の年収の現実は？給料アップの方法をご紹介

理学療法士として働いていても、なかなか年収が上がらずに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。また「理学療法士の平均年収はどのくらいなのだろう」と気になる方もいますよね。理学療法士の年収は全体の給与所得者と比較するとやや低い傾向にありますが、給料を上げる方法はゼロではありません。

この記事では理学療法士の年収の現実と、年収別の給料アップの方法について解説します。平均年収をおさえておけば、現在の給料と照らし合わせて、それに応じた給料アップの方法を実施できるでしょう。

理学療法士の年収の現実は？

まずは理学療法士のリアルな平均年収や全体の給与所得者との比較、年齢による推移などについてみていきましょう。

理学療法士の年収は給与所得者全体の平均よりも低い傾向にある

令和3年度の厚生労働省の調査では、理学療法士の平均年収は、約427万円とされています。内訳として、「決まって支給する現金給与額」が29.6万円、「年間賞与を含めた特別給与額」が約71.3万円となっています。

一方で、全体の給与所得者の平均年収は443万円という結果でした。この結果から、理学療法士の平均年収は給与所得者全体と比較すると低い傾向にあることがわかります。

ただし、全体の給与所得者の平均年齢が46.9歳に対して、理学療法士は35.1歳です。経験年数によって年収が変化することもある点を考慮すると、一概に全体の給与所得者よりも完全に低いとは言い切れないでしょう。

出典：賃金構造基本統計調査/令和３年賃金構造基本統計調査一般労働者職種（職種（小分類）別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額（産業計）
国税庁｜民間給与実態統計調査

理学療法士の年齢別の平均年収の推移

理学療法士は経験年数に応じて平均年収が高くなる傾向にあります。年齢別の平均年収の推移は以下の表の通りです。

年齢	平均年収
20〜24歳	約329万円
25〜29歳	約380万円
30〜34歳	約414万円
35〜39歳	約437万円
40〜44歳	約487万円
45〜49歳	約516万円
50〜54歳	約539万円
55〜59歳	約575万円
60〜64歳	約479万円
65〜69歳	約357万円

このように、55歳までは順調に平均年収が高くなっていきます。

他の医療職との平均年収の比較

理学療法士以外の医療職の平均年収の比較をしていきましょう。医療職ごとの平均の年齢と年収は以下の通りです。

職種名	平均年齢	平均年収
理学療法士	35.1歳	約427万円
医師	45.3歳	約1,378万円
薬剤師	41.1歳	約581万円
看護師	41.2歳	約499万円
准看護師	50.4歳	約407万円
放射線技師	41.9歳	約547万円
臨床検査技師	41.6歳	約496万円

このように、理学療法士の平均年収だけをみると、他の医療職と比較すると低い傾向にあります。

出典：賃金構造基本統計調査/令和３年賃金構造基本統計調査一般労働者職種（職種（小分類）、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額）

理学療法士の年収が低い傾向にある理由

なぜ理学療法士の年収が低い傾向にあるのでしょうか。ここではその理由について解説します。

理学療法士の数が増えている

理学療法士の数が年々増えている関係で、需要に対する供給量が増加しているのが原因の1つです。2022年度の理学療法士免許の国家試験合格者は、約20万人だといわれています。2012年度の合格者数が約10万人である点を考えると、理学療法士になる年間の数が2倍以上になっていることがわかります。

理学療法士の数が増えると供給過多に近づき、結果的に一人ひとりの給料が低く設定されることとなるのです。今後求められる、あるいは稼げる理学療法士として続けるためには、新たな資格や実績を持って差別化を図る必要があるでしょう。

出典：統計情報｜協会の取り組み

リハビリの制度が関係している

リハビリの制度によって給料が上がりにくいのも、理学療法士の年収が低くなる原因です。理学療法士はリハビリを実施した単位数に応じた報酬を得られますが、1日に稼げる額には限度が設けられています。そのため、理学療法士として稼げる額には上限があるのです。

たとえ新人でもベテランでもリハビリによる報酬額は同じなので、経験年数があっても給料が上がりにくい傾向にあります。新人にとっては最初からある程度の水準の給料を得られるのはメリットかもしれません。しかし、徐々に経験年数を積み重ねていくと、給料が変わらないことに不満を感じやすくなるでしょう。

【年収別】理学療法士が給料アップを目指すための流れ

理学療法士の給料を上げるには、どのような工夫をすれば良いのでしょうか。ここでは年収別に分けながら、給料アップの方法を解説します。

年収500万円を目指す方法

40代後半になると理学療法士の平均年収は500万円を超えはじめるので、同じ職場で働き続けていれば達成は十分に可能です。短期間で年収500万円を目指したい場合は、給料の高い職場に転職するのがおすすめです。

給料が高い傾向にある職場としては、訪問リハビリや教員などがあげられます。とくに訪問リハビリは通常の給料だけでなく、インセンティブによる報酬を受け取れる場所もあるでしょう。教員という選択もありますが、一定の経験年数と臨床とは異なる知識が求められる分、訪問リハビリの方が転職しやすいといえます。

年収600万円を目指す方法

年収600万円を目指す方法としてあげられるのが、昇進による給料アップです。給料の良い職場に加えて、経験年数を積み重ねて役職につければ、年収600万円も十分に到達可能でしょう。

それ以外の方法としては、副業で本業とは異なる収入源を作ることです。副業にはさまざまな種類があり、代表的なものは以下の通りです。

●訪問リハビリ
●スポーツトレーナー
●ブログ
●Webライター
●動画編集

このように、理学療法士としてのスキルを活かせるものもあれば、新たなスキルを身につけて稼ぐ方法もあります。本業をしながら副業で稼ぐことは簡単ではありませんが、ぜひこちらの方法も検討してみましょう。

年収800万円を目指す方法

年収800万円になってくると、昇進や転職だけでは達成がむずかしくなってくるでしょう。医療関連の企業の転職では高い年収が期待できますが、リハビリ以外のさまざまな知識が求められます。それ以外で年収800万円以上を目指す方法としては、開業や副業があげられます。

理学療法士には開業権がないため、独立する場合はデイサービスや治療院、整体院などが中心となるでしょう。開業すると収入が青天井となるので、成功を収めれば年収800万円を超えることも十分に可能です。ただし、その分赤字になったり、逆に収入が低下したりするリスクがある点に注意する必要があります。

年収1000万円以上を目指す方法

年収1000万円を達成する方法は、年収800万円のときと同じように、開業や副業などがあげられます。年収800万円を超えたときの方法を継続しつつ、更なる仕組み化やブランディング力が求められるでしょう。

たとえば、開業の場合は事業を拡大して、さらに売り上げを伸ばす取り組みをする必要があります。副業の場合、労働をせずとも収入が増えるような仕組み作りが重要です。どちらにせよ、理学療法士だけにとらわれない働き方が求められるでしょう。

理学療法士の年収を上げるときに注意すべきポイント

理学療法士の年収を上げるときに注意すべきポイントとして、具体的な目標と計画を持って取り組むことです。明確な目標や計画がないまま年収を上げようとしても、うまくいかなかったり、負担が必要以上に大きくなったりする恐れがあります。

年収を上げようとするあまり、本業や家庭を疎かにするのも本末転倒です。そうならないためにも、以下のような具体的な目標と計画を立てましょう。

●○年までに○○のスキルを獲得して、転職する
●○年までに開業したいから、それまでに○○をしよう

まずは現状を整理して、少しずつ年収アップの計画を立てていくことが大切です。

理学療法士の将来性について

理学療法士の今後の将来性について、疑問を感じる方もいるのではないでしょうか。しかし、これからも高齢化社会が進行するとなると、まだまだ理学療法士の将来性はあると考えられます。高齢者に限らず、運動は健康にとって必要な要素であり、今後もそれは変わらないでしょう。リハビリで身体を動かすことは、QOL（生活の質）を高めるには欠かせないものといえます。

また、理学療法士は臨床だけでなく、一般企業や研究・教育機関などの幅広い面で活躍しています。今後さらに活躍の幅が広がれば、理学療法士の需要も増えていく可能性もあるでしょう。

理学療法士の年収の現実を理解して給料アップを目指そう

理学療法士は、全体の給与所得者や他の医療職と比較すると低い傾向にあります。その理由としては、理学療法士の数の増加や制度による問題などがあげられます。しかし、転職や副業など、理学療法士でも年収を上げる方法は豊富にあるため、給料・収入を伸ばすことは十分に可能です。ぜひ今回の記事を参考にして、年収にあわせた給料アップの方法を実施してみましょう。