作業療法士を目指すとき、自分に向いている職種なのかわからない人はいるのではないでしょうか。作業療法士はリハビリだけでなく、患者さんや多職種と多くコミュニケーションをとる必要がある職種です。そのため、作業療法士にはコミュニケーションスキルや向上心などが求められます。
この記事では、作業療法士に向いていない・向いている人の特徴についてご紹介します。作業療法士に適した人の特徴を知ることで、自身の将来を決めるきっかけとなるでしょう。
目次
作業療法士に向いていない人の特徴
作業療法士に向いていない人はどのような特徴があるのでしょうか。ここではその特徴について解説します。コミュニケーションをとるのが苦手な人
作業療法士に向いていない特徴の1つとして、コミュニケーションをとるのが苦手な人です。作業療法士は患者さんとコミュニケーションをとりながらリハビリを行う仕事です。患者さんとうまくコミュニケーションが取れないと信頼関係を作れず、うまくリハビリを進められなくなる可能性があります。また、同じリハビリスタッフだけでなく、医師や看護師などの多職種とやり取りをする機会も多いでしょう。このように、作業療法士は多くの人と接する機会のある職種なので、コミュニケーションが苦手だと苦労しやすくなります。
向上心がない人
向上心がない人も、作業療法士に向いていない可能性があります。リハビリ業界は治療機器や手技など、年々変化していきます。そのため、大学や専門学校で勉強して作業療法士になった後でも、自己研鑽は欠かせません。向上心がなく、ただ仕事ばかりこなしていると、次第にリハビリの変化についていけなくなることもあるでしょう。場合によっては、患者さんにしてはいけないリハビリを提供してしまう恐れもあります。作業療法士は就職後も勉強が必要なので、向上心がないとおすすめはできません。
収入を大きく伸ばしたい人
収入を大きく伸ばしたい人も、作業療法士に向いていないといえます。作業療法士は基本的に成果報酬型の仕事ではないため、すぐに収入を大きく伸ばすことは難しい職種です。訪問リハビリでは、成果報酬を得られるインセンティブ制を導入している場合もありますが、すべての職場に当てはまるわけではありません。収入を大きく伸ばしたいと考えている方は、開業を視野に入れておくか、他の仕事を検討した方が良いでしょう。一方で、作業療法士は国家資格なので、安定して給料を貰いたい人にはおすすめです。
作業療法士に向いている人の特徴
作業療法士に向いていない人の特徴について解説しましたが、向いているのはどのような人なのでしょうか。ここでは、向いている人の特徴についてみていきましょう。協調性の高い人
協調性が高く、他人とのやりとりが得意な人は作業療法士に向いています。先ほど説明した通り、作業療法士は患者さんやリハビリスタッフ、他職種とやり取りする機会が多い傾向にあります。とくに患者さんが急変したり、状態を説明したりするときに多職種と連携する際は、高い協調性が求められるでしょう。協調性の高さは円滑にコミュニケーションをとるためのものだけでなく、患者さんの安全や提供するリハビリの質にも影響します。
ささいな変化に気づける人
ささいな変化に気づける人も、作業療法士としての素質があります。患者さんは体調や状態が変化しやすいです。そのような小さな変化に対応しながらリハビリを提供することで、身体機能の改善につながるのです。また、患者さんのささいな変化がきっかけに体調が悪化する可能性もあります。その変化を見逃さず、適切に対応できれば体調悪化の進行を防ぐこともできるでしょう。このような変化に気づける作業療法士は、職場でも重要な人材といえます。
想像力が豊かな人
想像力が豊かな人も、作業療法士におすすめです。作業療法士は患者さんの状態にあわせて、さまざまなリハビリを提供します。想像力が高いと、患者さんに適したリハビリのバリエーションが増えやすくなります。さまざまなアプローチを提供することで、身体機能の改善につながるでしょう。また患者さんにとっても、さまざまなリハビリを受けることは良い刺激となり、モチベーションを高めるきっかけとなります。想像力が高く、柔軟な発想ができるスキルは作業療法士にとって重要といえます。
作業療法士としてやりがいを感じる場面
作業療法士に向いているか、向いていないかも仕事を選択する指標の1つですが、やりがいを感じられるかどうかもポイントとなります。ここでは作業療法士としてやりがいを感じる場面について解説します。患者さんが良くなったとき
患者さんがリハビリで少しずつ良くなったときの達成感は、作業療法士として大きなやりがいの1つです。患者さんの症状は多岐にわたり、なかには重度の病気やケガによって身体機能が大きく低下してしまった人もいます。そのような患者さんに対してリハビリを提供し、徐々に症状が改善しているときのうれしさは、リハビリ職でしか味わえないものです。このような「患者さんの改善に貢献している」という気持ちを得られれば、さらに作業療法士としての仕事が好きになるでしょう。
患者さんに感謝されたとき
リハビリによって症状が良くなると、患者さんに感謝されることも多くなります。このときも、作業療法士としてやりがいを感じられる場面です。作業療法士をはじめとしたリハビリ職は、ただリハビリを提供するだけではありません。患者さんのなかには、病気やケガになった直後は現状を受け入れられず、落ち込んでしまう人も少なくありません。作業療法士は、そのような患者さんを思いやりながら、親身に寄り添ってサポートすることも仕事の1つです。
リハビリに前向きになり、次第に良くなっている患者さんに感謝されれば、「作業療法士になって良かった」と感じるでしょう。
多職種と連携しながらリハビリしているとき
他職種と連携しながらリハビリを進めているときも、やりがいを感じるポイントです。作業療法士は決して一人で行う仕事ではありません。他のリハビリ職はもちろん、医師や看護師などと連携をとりながらチームで仕事を進めていくことが重要です。このときに多職種とうまく連携しながら効率的にリハビリを行えるようになると、仕事の楽しさを感じられるでしょう。さまざまな職種とのやりとりをするのは大変ですが、その分作業療法士として貢献している実感を得られやすいのも魅力の1つです。
理学療法士とはどんな違いがある?
作業療法士と同じリハビリ職には、理学療法士があります。ここでは作業療法士は理学療法士とどのような違いがあるのかについてみていきましょう。理学療法士の特徴
理学療法士は、「歩く・立つ・座る」などの基本的な動作の改善を目指す職種です。基本的な動作の獲得のために、運動療法や熱・電気などの物理刺激を用いた物理療法を中心にアプローチをします。一方で、作業療法士は応用的な動作の獲得を中心としたリハビリを行う職種です。基本的な動作だけでなく、家事や仕事、趣味活動に必要な動作のリハビリを行います。
このように、理学療法士は「基本的な動作」を扱う一方で、作業療法士は「応用的な動作」を担うという特徴があります。ただし、いずれも明確に役割としての境界線が決められているわけではない点に注意しましょう。患者さんの状態や職場の状況によっては、作業療法士も理学療法士と同じような役割を担うケースもあります。
資格を取得する流れは変わらない
資格を取得する流れに関しては、理学療法士と変わりありません。どちらも国家資格であり、資格取得のためには所定の大学や専門学校で3年以上学ぶ必要があります。それぞれカリキュラムに少しの違いはありますが、解剖学や生理学などの基礎的な科目は共通しています。その後、国家試験に合格したら資格の取得が可能です。
参考として、それぞれの令和5年度の国家試験合格率は以下のとおりです。
●理学療法士:87.4%
●作業療法士:83.8%
国家試験の難易度は年々変動するものの、どちらも大きな差がないことがわかります。
出典:第58回理学療法士国家試験及び第58回作業療法士国家試験の合格発表について
作業療法士を目指すときにしておきたいこと
学生で作業療法士を目指すときにしておきたいポイントは、養成校の内定が決まった後は身体に関する勉強をしておくことです。養成校では、まず解剖学や生理学などの身体の構造を理解するための基礎的な勉強をします。あらかじめ身体に関する勉強をしておけば、講義の内容をスムーズに理解できるようになるでしょう。専門性の高い内容でなくて良いので、身体の構造について学べる簡単な書籍や動画を確認しておくことをおすすめします。また、パソコンの操作にもある程度慣れておきましょう。養成校はもちろん、就職した後もパソコンの操作をすることになるので、WordやExcelなどの基本的なスキルを身につけておくことが大切です。
作業療法士に向いていない人・向いている人の特徴を確認しておこう
作業療法士は、患者さんや多職種とコミュニケーションをとりながらリハビリを進めていく職種です。そのため、他者と関わるのが苦手な人や、自己研鑽ができない人は作業療法士に向いていない可能性があります。一方で協調性が高く、患者さんの変化を敏感に察知できる人は作業療法士としての素質は高いといえるでしょう。性格以外にも、作業療法士としてやりがいを感じられるかどうかも大きな指標となります。ぜひ今回の記事を参考にして、自分は作業療法士に向いているのかどうかを確認してみましょう。関連ジャンル
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