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ICFとは?概要から実際に使えるコード一覧表まで細かく解説

ICFとは?概要から実際に使えるコード一覧表まで細かく解説

更新日:2023年08月31日

公開日:2023年08月24日

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往診するスタッフ

介護や看護の現場で、ICFと呼ばれる記録方法を使う機会が多くあります。ICFは国際的な分類方法のため、多くの現場で使われていますが、覚える情報も多岐に渡ります。

今回はICF(国際生活機能分類)の使われる目的とコードの書き方を中心に解説しました。実際に記録する際に参考できる一覧表も作成したので、ぜひ参考にしてみてください。

ICFとは?図を用いて分かりやすく解説

ジョギングをする夫婦

ICFとは、(International Classification of Functioning, Disability and Health,国際生活機能分類)の略称です。日本語に訳すと、「健康の構成要素に関する分類」となります。ここでは、ICFを使う目的と概要を図を用いて解説していきます。

ICFの目的とは?生活機能モデルとは?

ICFを使う目的として、人々の健康状態を把握しやすくするためと言われています。厚生労働省では、「生きるための目的を示す共通言語」が目的と言っています。
「引用:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ksqi-att/2r9852000002kswh.pdf

人種や健康状態に関係なく、全ての人の健康状態を表せるため医療や介護現場で使われやすくなっています。
また、ICFは生活機能(心身機能・構造)(活動)(参加)とそれに由来する背景因子(個人因子)(環境因子)、健康状態を加えたものを生活機能モデルとして見ています。後にそれぞれの構成要素について解説します。

ICFを構成する要素とは?

ICFを構成する要素は5つあります。図解で解説すると以下のとおりです。
図解

「引用:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ksqi-att/2r9852000002kswh.pdf

 個々の健康状態を表すには、中心にある3つの生活機能のモデルと環境因子、個人因子が相互に関係していると考えられています。

「心身機能・構造」:心身の働き
「活動」:生活行為、
「参加」:家庭・社会への関与・役割
「環境因子」:建物、道路などの物的環境だけでなく、人的環境や社会制度も含めたもの
「個人因子」:年齢、生活、ライフスタイルなど個人を構成する要因

また、ICFには医学情報と社会情報を統合した情報モデルと呼ばれる特徴があります。そのためICFを使って健康状態を表すには以下の特徴があります。

①すべてのレベルを重視: 
特定のレベルや要素(健康状態、環境因子など)を過大視せず、全体を見て、 全体的にとらえる。
②相互作用を重視: 
生活機能の3レベルが互いに影響を与え合い、さらに一方では「健康状態」、 他方では「環境因子」と「個人因子」がそれらと影響を与えあうという相互作用を重視する。但し「相対的独立性」も忘れない
 ③「プラス面」から出発:
 プラス面を重視し、マイナス面をもプラス面の中に位置づけてとらえる。 

ICFの書き方とは?コードや

カルテを書く医師

ICFは関係者間の患者情報の共有にとても便利です。その際に使われるICFの情報をコードと呼びます。コードには書き方が決められているため、今回は書き方について解説します。

コードの書き方について

ICFは小数点(分離点)の前後で各状態を表します。分離点の前でどのモデルの情報なのかを表します。また、分離点以下で評価点と呼ばれる状態の程度を書きます。具体例で説明します。

例 b16700.1

最初のアルファベットはどのモデルの領域を指すか説明されています。
b 心身機能
s 身体構造
d 活動・参加
e 環境因子

 アルファベットの後の数字はさらにレベル分けされて表示できるようになっています。
そこに加えて、程度を分離点以下の数字によって決めています。

共通する第1評価点

xxx.0:問題なし 0- 4%
xxx.1:軽度の問題    5- 24%
xxx.2:中等度の問題 25- 49%
xxx.3:重度の問題 50- 95%
xxx.4:完全な問題 96-100%
xxx.8:詳細不明
xxx.9:非該当


各モデルのコードは以下のように決められています。概要は厚生労働省から発表されている以下の画像を参考にしてみてください。
概念図

引用「https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000488247.pdf

実例

例えば、以下のコードは各機能や個人の状態を表した実例です。関節や言語の状態だけでなく、友人やスポーツなどと言った活動状況や参加状況も表せます。


b16700.1 「話し言葉の受容」
軽度の機能障害

s73021.321 「手と手指の関節」
重度の構造障害,部分的,右

d7104.32 「対人関係における合図」
重度(実行)中等度(能力)の困難

 d9201.00 「スポーツ」困難なし

 e1101.9 「薬」 非該当

 e320.+3 「友人」 高度の促進因子

 e460.2 「社会的態度」
中等度の阻害因子

実際にまとめる際はシートを使うのがおすすめ

ICFのモデルを基に、患者さんのリハビリ実施計画を立てるには、厚生労働省から配布されているICF整理シートを使うのがおすすめです。

ICF整理シートを使うことで、今担当している患者さんの状態を多角的に見ることができるため、アセスメントがしやすくなります。以下が、厚生労働省から配布されている「ICF整理シード」のため、ぜひ使ってみてください。

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/12/dl/s1217-12a_0004.pdf

ICFコード一覧表

記録書

ここでは、ICFのコード一覧の一部と検索方法について紹介します。ICFのコードは多岐に渡るため、心身機能の大まかな分類だけ載せました。構成要素の1つですが、それだけでも以下のボリュームです。

第 1 章 精神機能
b 117. 知的機能
b 122. 全般的な心理社会的機能
b 130. 活力と欲動の機能
b 134. 睡眠機能
b 140. 注意機能
b 144. 記憶機能
b 147. 精神運動機能
b 152. 情動機能
b 156. 知覚機能
b 160. 思考機能
b 164. 高次認知機能
b 167. 言語に関する精神機能
b 172. 計算機能
第 2 章 感覚機能と痛み
b 210. 視覚機能
b 215. 目に付属する構造の機能
b 230. 聴覚機能
b 240. 聴覚と前庭の機能に関連した感覚
第 3 章 音声と発話の機能
b 330. 音声言語(発話)の流暢性とリズムの機能
第 4 章 心血管系・血液系・免疫系・呼吸器系の機能
b 435. 免疫系の機能
第 5 章 消化器系・代謝系・内分泌系の機能
b 550. 体温調節機能
b 555. 内分泌腺機能
第 6 章 泌尿・性・生殖の機能
b 610. 尿排泄機能
第 7 章 神経筋骨格と運動に関連する機能
b 735. 筋緊張の機能
b 750 運動反射機能
b 755. 不随意運動反応機能
b 760. 随意運動の制御機能
b 765. 不随意運動の機能

実際には、多岐にわたるため検索サイトを利用して、自分の分からない表記を調べるのが効率的です。以下はICF-CY(国際生活機能分類 児童版)の日本語版について全て記載されているサイトです。ぜひ実際に使ってみてください。
http://e-angel.icfcy-jpn.org/icfcydb/html/

ICFを用いて患者さんの状態を分かりやすくしよう

笑顔のスタッフ

ICFは約1500項目にも分類されていて、覚えて記載するのは大変難しくなっています。しかし、書き方を把握してどの情報が記載されているかを覚えれば、多少記載しやすくなります。

リハビリや看護の場面では、客観的に状態を把握できるツールのため、とても便利です。ぜひ一覧表や検索方法は参考にしてみてください。
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