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専門作業療法士ってどんな資格?キャリアアップに繋がるの!?

「専門作業療法士」という資格をご存じでしょうか?今後のキャリアアップを考えている方は、ぜひ一度ご覧ください。

更新日:2020年04月16日

公開日:2020年04月16日

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専門作業療法士ってどんな資格?キャリアアップに繋がるの!?

今回は、作業療法士の資格で最上位の「専門作業療法士」についてご紹介したいと思います。キャリアプランを考えている作業療法士や認定作業療法士の資格は取得したけれど専門まで取得すべきなのか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

専門作業療法士とは?

専門作業療法士とは?

専門作業療法士とは、認定作業療法士が作業療法の中で特定の分野についてより知識を深め、その分野における高度な実践能力、課題解決能力を持っていると認められた方です。
専門作業療法士の資格制度は「より優れた臨床実践能力をもつ作業療法士を育成すること」「障がいを持つ方々に良質かつ効果的な作業療法を提供し、対象者の生活支援に貢献すること」を目的として平成21年よりスタートしました。
専門作業療法士は、多様な専門性を活かして総合的な判断をするジェネラリストとしての認定作業療法士の視点を活かし、質の高いサービスを提供するプロフェッショナルであることが必要とされます。また、社会に対して作業療法がどのように貢献できるのかを示していく重要な役割を担っています。

その重要な役割を果たすため、専門作業療法士は次の3つの能力を満たしていることが求められます。

(1)専門作業療法士分野において、高い見識(物事を見通す優れた判断力)と優れた技術力(技術の向上・洗練と新しい技術の開発応用能力)によって卓越した作業療法を実践できる能力。

(2)専門作業療法士分野において、困難な事例に対応できる能力。

(3)認定作業療法士のもつ能力を専門作業療法士分野で応用できる能力。
その能力とは、作業療法士の実戦能力を向上させるため教育能力、専門家集団を率いて統率・指導をおこなう能力、専門知識及び技術の向上並びに開発をはかるために実践の場における研究活動をおこなう能力。

専門作業療法士を取得する3つのメリット!

専門作業療法士を取得する3つのメリット!

様々な能力を必要とされる専門作業療法士ですが、資格を取得するメリットにはどんなことがあるのか気になるはず。
そこで、専門作業療法士の資格を取得するメリットについてまとめてみました。
専門作業療法士資格を取るメリットは以下の3つ。

1.【スキルアップできる】
専門とする分野においての知識や技術力などが高いことが必要とされる資格ですので、スキルは確実に向上します。

2.【キャリアアップに繋がる】
専門作業療法士は、専門とする分野において深い知識や高い実践能力、課題解決能力を持っているだけはなく、教育や研究・開発の能力も必要です。そのため、資格を取得することでその能力を持っていることを評価されキャリアアップに繋がります。


3.【価値が高まる】
近年、作業療法士の価値を高める活動がおこなわれており、医療広告の規制も緩和され始めています。将来的に作業療法士という職種がもっと認知され「専門作業療法士が在籍しています」など広告に表示可能になれば、作業療法士の需要は増え専門作業療法士の価値はさらに高まります。

専門作業療法士の資格は、目に見えるメリット(給料アップなど)は現状少ないかもしれません。しかし、資格を取得することで今後の作業療法士人生のプラスになることは、大きなメリットといえます。

専門作業療法士になるには何からするべき?

専門作業療法士になるために最初にすること

専門作業療法士になるには、認定作業療法士資格を持っていることが前提条件です。
将来のキャリアプランを考えスキルアップを図りたい作業療法士は、まず認定作業療法士の資格取得を目指しましょう。
専門作業療法士は、認定作業療法士として専門分野における勤務年数が条件に含まれています。そのため、認定作業療法士として専門分野で経験を積んでおくことは必要不可欠です。
専門作業療法士を目指すのであれば、なるべく早い段階で「どの分野を極めたいか」を考えておき、認定作業療法士を取得後その分野での臨床経験を積みましょう。
すでに認定作業療法士の資格を取得している方は、専門とする分野を選び臨床実践の経験を重ねていきましょう。

認定作業療法士について詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみてください!

10の専門分野から選ぶ

専門作業療法士の専門分野は10分野に分けられています。
これからどの分野にするか選ぶ方のために、それぞれの分野の定義について見ていきましょう。

【福祉用具】分野

作業療法における福祉用具の導入支援とは、作業療法を提供するすべての時期において、子どもから大人までの対象者、家族や支援者が福祉用具を使うことで、日常生活や介助動作における心身の負担の軽減や自立を促進するものである。福祉用具を使うこと自体が目的ではなく、用具利用を通じて対象者が豊かな生活を送れるかという視点が重要となります。
そのため、ニーズに合致した用具の選定と適合を行い、問題解決のための多様な選択肢を検討するとともに、他職種との協働や連携ができる専門性がある。
これらの経験をとおして企業等と連携し、用具(機器)の開発・普及に努める。

*福祉用具分野の認定取得についての詳細はこちらをご覧ください。

【認知症】分野

認知症患者に対する作業療法の高度な臨床実践の分野。

*認知症分野の認定取得についての詳細はこちらをご覧ください。

【手外科】分野

疾病、外傷等による手の機能障害に対する高度な作業療法の臨床実践の分野。

*手外科分野の認定取得についての詳細はこちらをご覧ください。

【特別支援教育】分野

特別支援教育の対象障害に対する高度な作業療法の臨床実践の分野。

*特別支援教育分野の認定取得についての詳細はこちらをご覧ください。

【高次脳機能障害]分野

高次脳機能障害に対する高度な作業療法の臨床実践の分野。

*高次脳機能障害分野の認定取得についての詳細はこちらをご覧ください。

【精神科急性期】分野

精神科急性期における作業療法の高度な臨床実践の分野。

*精神科急性期分野の認定取得についての詳細はこちらをご覧ください。

【摂食嚥下】分野

摂食嚥下分野とは、小児期から老年期までの幅広い年齢層であることに加え、食事動作としての上肢機能、姿勢制御、摂食嚥下機能、食具を含む食事環境の調整などを幅広く含む分野とする。
食事をするという人の生活行為(機能)全般にわたる障害に対する高度な作業療法の臨床実践の分野。

*摂食嚥下分野の認定取得についての詳細はこちらをご覧ください

【訪問】分野

訪問作業療法(Home-based OT)とは、身体・精神・認知機能に障害のある又は、起こりうる可能性のある(全ての年齢層)に対し、その人の暮らしを継続するために生活の場において最も適した作業を提供することで、心身機能の維持及び改善、地域活動・社会参加の機会の促進を実践することができる分野である。
生涯にわたる対象者の特性を考慮した高度な臨床実践と研究の積み重ねにより、その人の QOLの向上に貢献することができる専門性を持っている。

*訪問分野の認定取得についての詳細はこちらをご覧ください。

【がん】分野

がんの作業療法とは、がんになった経験のある方とその家族を含めた地域社会に対して、予防期から終末期、死別後までの様々な全人的苦痛( Total Pain)に対して、その改善・緩和をおこなう。
また、(がん専門)多職種チームの一員として意味のある作業の実現とQOLの維持・向上を目的に、リスク管理を行いつつがん治療に対する最新情報を集め、高度な臨床実践を行うとともに他職種への支援、研究ができる専門性を持っている。

*がん分野の認定取得についての詳細はこちらをご覧ください。

【就労支援】分野

就労支援の作業療法は、様々な疾患や障害を有し就労を希望する方と休職している方、その家族、企業等を含めた地域社会を対象とする。
また、就労準備から就労定着までの様々な課題に対し、働くために必要な心身機能と作業遂行能力の関連を評価し、その改善と環境の調整をおこなう。
さらに、“働くこと”を通じて対象者のQOLの維持・向上を目的に、就労支援に対する最新情報を集め、高度な実践をおこなうとともに他職種への支援、研究ができる専門性を持っている。

*就労支援分野の認定取得についての詳細はこちらをご覧ください。

専門作業療法士の取得方法

専門作業療法士の取得方法をご紹介! ・取得までの流れ・取得要件・4つの実践・認定審査

専門とする分野を固めたら、専門作業療法士を取得するまでの流れや受験資格などについて見ていきましょう。

資格取得までの流れ

専門作業療法士の資格取得までの流れは以下です。
資格取得までの流れ

取得要件について

専門作業療法士資格の認定を受けるには、以下の取得要件を満たし「書類審査」を通過しなければなりません。
書類審査に合格すると受験票が発行され「認定試験」を受けられます。

<取得要件>
●認定作業療法士の資格を取得している。
●専門分野において資格取得のための4つの実践を満たしている。
1)研修実践:計20専門単位
2)臨床実践:計20専門単位
3)研究実践:計10専門単位
4)教育と社会貢献の実践:計10専門単位

4つの実践とは!?

取得要件にある「専門分野においての4実践」についての詳細を見ていきましょう。

【研修実践】(計20単位)

研修実践では、専門分野ごとにカリキュラムが定められ「専門基礎研修」「専門応用研修」「専門研究・開発」の3つのステップに分けられています。
それぞれのカリキュラムを修了することで、基礎から応用、研究・開発までの能力が備わっていることを確認します。

[専門単位数:20単位]

1)専門基礎
専門基礎研修では、各分野に応じた対象者に対して適切な評価・治療を実施できることを習得します。

2)専門応用
専門応用研修では、困難事例や少数事例などの特殊な事例にも対応できる能力や後輩の育成・指導ができる能力を習得します。

3)専門研究・開発
専門研究・開発では、専門分野における研究・開発に携わりその結果を広く伝達する能力を習得します。

研修実践の進め方には2つの方法があります。
1つ目は1~3を順に進める方法、2つ目は1の修了後に2・3を平行して進める方法です。
しかしながら、専門分野によっては進級要件が設定されている場合もありますので、協会ホームページにある各分野の「専門作業療法士の認定取得のための手引き」にて確認しておきましょう。

【臨床実践】(計20単位)

臨床実践では、各専門分野での高度な臨床実践能力が備わっているかを「専門分野での経験事例数」「専門分野での勤務年数」で確認します。そのため、専門分野ごとに必要な事例の種別と数、また一定時間以上の勤務経験が定められています。
認定審査の申請をおこなう際、事例数と勤務経験の報告が必要となるため協会に入会後、自己管理にて記録を残しておいてください。

[専門単位数:10単位]

●専門分野における一定時間以上の勤務経験がある。
●専門分野により指定施設での一定期間の臨床研修修了している。

[専門単位数:10単位]

●専門分野に関して、必要事例数の経験がある。

【研究実践】(計10単位)

研究実践では、専門分野での臨床実践能力が優れているのかを確認します。
確認する方法は、専門分野ごとに定められている数の「事例報告」と、専門分野での臨床実践の成果をまとめた「論文・著書・学会発表」の実績で判断されます。
論文は専門分野ごとに対象となるジャーナルが決められています。また、学会発表も規定の学会に加え、専門分野によって対象する学会が異なる場合があるので必ず確認しておきましょう。

[専門単位数:2単位]

●事例報告登録制度を用いて専門分野ごとに定めた事例数を報告する。

[専門単位数:8単位]

●専門分野に関する論文・著書・学会発表をおこなう。
(投稿対象は機関紙作業療法、各専門分野の定めた学術誌など)

【教育と社会貢献の実践】(計10単位)

教育と社会貢献の実践では、後輩育成のための教育実践や専門分野に関する社会貢献を実践しているかという点を確認します。
教育実践に該当するのは、研修会などでの講師やシンポジスト、専門作業療法士のための臨床研修の指導などです。また、社会貢献に該当するのは、論文査読や学会・研修会の運営、自治体事業への参加、ボランティア協力など専門分野に関する社会的貢献となります。
この2つの実践は、他の3つの実践を進めながら平行して専門分野ごとに規定されている教育と社会貢献を積み重ねることが必要です。

[専門単位数:5単位]

●専門分野に関する教育実践をおこなう。

[専門単位数:5単位]

●専門分野に関する社会貢献をおこなう。

専門作業療法士資格の認定審査について

専門作業療法士資格の認定審査は「書類審査」「認定試験」の2つの方法でおこないます。
書類審査では、申請する専門作業療法士分野の取得要件や添付書類などを確認し判定されます。書類審査に合格しなければ認定試験を受験することはできません。
認定試験を受験し合格することで、専門作業療法士資格を取得できます。

《認定審査|書類審査の申請》

前述した受験資格を満たしたうえで、下記項目の条件を満たす会員が認定審査の申請をおこなうことができます。

<申請条件>
●作業療法士免許を持っていること。
●当該年度の年会費を納めていること。
●申請時および試験時に認定作業療法士であること。

<申請の流れ>
1)協会のホームページより「2019年度専門作業療法士資格認定審査申請書」をダウンロードし、必要事項の記入と写真を貼付する。

2)審査料の振込
指定の口座に審査料を振り込みます。

審査料:5,000円

3)添付書類などの準備
各分野の手引きに記載されている申請に必要な書類を用意する。

●作業療法士免許証の写し
●電子会員証(日本作業療法士協会)の写し
●認定作業療法士認定証の写し(有効期限内のもの)
●生涯教育受講記録
●専門作業療法士研修生涯教育受講記録
●所属士会の会員歴証明書
●分野別申請書類一式
●審査料の振込済み証明書の写し

4)協会事務局へ郵送する
協会より指定されている期間までに上記の添付書類等をそえて、協会事務局に送ります。

5)認定審査の合格
書類審査に合格すると、認定試験の受験票が発行されます。

《認定審査|試験審査》

認定審査を通過したら、認定試験の受験に向けて準備をおこないましょう。
試験審査の概要は以下です。

<認定試験の概要>
1)日時:2月上旬ごろ
2)会場:日本作業療法士協会事務局
3)方法:筆記試験(四肢択一)
4)試験時間:120分
5)持ち物:受験票、時計、筆記用具、身分証明書

認定試験に合格すると専門作業療法士の資格が認められ、合格者には専門作業療法士の認定証が交付されます。

※認定審査の詳細については、日本作業療法士協会のホームページより申請年度の「専門作業療法士資格認定審査の概要」にて必ずご確認ください。

さいごに

専門作業療法士の取得は計画をたてて進めていきましょう!

専門作業療法士の資格は、取得したいと思ってすぐに取れる資格ではありません。認定作業療法士として、専門分野に携わっている経験年数や事例数が必要となるため、計画をたてて長期的に進めていくことが大切です。近い将来、作業療法士の価値が高まれば、専門作業療法士は重要な人材となるでしょう。取得者が少ない今だからこそ、専門作業療法士の資格取得に向けて準備を始めることをおすすめします。
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